はじめに
フリーランス薬剤師として働くと、自由度の高さや収入アップなどメリットばかりが注目されます。
「好きな場所で」「好きな人と」「自分で選んで働ける」
これは本当に魅力的で、僕もその自由に惹かれて独立を決意しました。
でも、現実は甘くありません。
自由には責任が伴う。
そして責任が増える分、トラブル対応も「自分ごと」になります。
特に患者さんからのクレーム対応は、フリーランスだろうが会社員だろうが避けられないものです。
ただ、フリーランスであるからこそ「どこまで自分で対応していいのか」「どのタイミングで責任者に相談するか」をしっかり考える必要があります。
今日は、僕がフリーランス薬剤師になって初めて受けたガチのクレームを、赤裸々に書きます。
失敗も含めて正直に書くので、これからフリーランスを目指す薬剤師の方には「自分だったらどうするか」を考えるきっかけにしてほしいです。
自己紹介(読み飛ばしOK!)
はじめまして、はしけんです。
大手ドラッグストアで会社員薬剤師として勤務した後、現在はフリーランス薬剤師として活動しています。
独立してからは、自由を得た代わりに不安定さや孤独も経験しました。
このブログでは、フリーランス薬剤師としてのリアルを本音で発信しています。
メリットだけでなく、失敗談や最悪だと思ったことも包み隠さず書きたい。
同じようにキャリアを考える薬剤師の方が、良い面も悪い面も含めて判断する材料になれば嬉しいです。
結論:フリーランスでも「自分で抱え込むな」
今回のクレームを一言で言うと、
「水剤のボトルのフタが開いていて車のシートがびちゃびちゃになった。どうしてくれるんだ」
というものです。
しかも「薬剤師の対応も感じが悪かった」とまで言われました。
正直、普段そんなこと言われるタイプじゃないと思ってたので、ええっ??って感じでした。
ただ、この経験を通して強烈に学んだのは、
✅ フリーランスだからと言って「全部自分で何とかしよう」と抱え込むのは危険
✅ まずは責任者や経営者に連絡し、会社の方針を確認することが大事
この二つです。
フリーランス薬剤師って、自由に働ける反面「自分だけで全部解決しよう」としてしまう人が多いと思う。
でもトラブル対応は一人で完結しない。
契約先や経営者の意向もある。
弁護士対応が必要になるケースだってある。
だからこそ、**「まず報告・相談する」**という超基本を改めて痛感した出来事でした。
✅ 投薬当日の状況
クレームが来たのは、小児科の処方を受けたときの話です。
まず背景として、そのお母さんは最初の投薬時から明らかに機嫌が良くない雰囲気でした。
正直、薬局も結構混んでた日でしたが、待ち時間は10分以下。
自分なりに「今日はよく回したな」と思っていたくらいです。
でも、そのお母さんはこちらの説明にほぼ返事もなく、険しい表情のまま。
「これは少しやりづらいな」と感じつつも、業務は進めなきゃいけない。
そのときの処方には小児用の水剤が含まれていました。
この薬局は、薬袋に入れずにボトルのまま渡す仕様。
シゴデキな事務さんが毎回、めっちゃしっかり閉めてくれています。
ただ、相手の反応がほぼゼロだったので、こちらからの説明もクローズドクエスチョンを多めにして必要最小限にしました。
「他の患者さんをお待たせしない」
「でも必要な説明はする」
そのバランスを取ったつもりでした。
それでも相手には「冷たく感じた」可能性があったのかもしれません。
✅ その後に来たクレーム
その1時間後、薬局に電話がかかってきました。
対応したスタッフが「今朝の水剤のお母さんからです」と。
内容は、
「水剤のボトルのフタが開いていて車のシートがびちゃびちゃになった。弁償してほしい」
「薬剤師の対応も感じが悪かった」
とのこと。
正直、最初に聞いたときは「それ子供さんがいじったんじゃ…」と思いました。
でももちろんそんなことは言えないし、言ったところで火に油を注ぐだけです。
そして何より衝撃だったのは「感じが悪かった」という一言。
普段から患者さんに「話しやすいですね」と言ってもらうことも多く、そんな風に言われたことがなかったのでショックではないですが、驚きでした。
✅ 社長への報告と指示
さすがに自分だけで対応を決めてはいけないと思い、社長に連絡することに。
フリーランスとして業務委託で働いている身でも、現場の責任は薬局にあります。
勝手に「弁償します」「謝罪金を払います」とは絶対に言えない。
社長からは
✅ 「とにかく一度謝りに行こう」
✅ 「もし弁償を請求されたら、その場で話をまとめず一度持ち帰ること」
と指示をもらいました。
これは本当に大事なポイントだと思います。
薬局側も当然、顧問弁護士がいます。
トラブル対応は一歩間違えると法的責任に発展する。
だからこそ「その場で勝手に話を決めない」ことが徹底されていました。
✅ 謝罪訪問
その日、タクシーを4000円かけて患者さん宅に向かいました。
道中、色んなことを考えました。
「謝っても許してもらえないだろうな」
「自分の何が悪かったのか」
「でも弁償の話になったらどうするか」
現地に着くと、やはりお母さんは不愛想なまま。
こちらはとにかく謝罪をするしかない。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「不快な思いをさせてしまって本当にすみません」
こちらの誠意を伝えることに集中しました。
ただ、相手の態度は最後まで変わりませんでした。
結局その場で弁償の要求はされず、薬を受け取って終了。
帰りのタクシーでは少し気が抜けました。
運転手さんが「仕事って大変ですよね」と話しかけてくれて、そのまま仕事観について語り合いながら帰りました。
最後に言われた「他人を見てわが身を正せ」という言葉が、心に残りました。
僕も他人には攻撃的な態度をとらないように、普段から心がけてます。
✅ この経験から学んだこと
① フリーランスでも「自分だけで背負うな」
フリーランスだから「全部自分で何とかしないと」と思いがちです。
でも、トラブル対応は組織の方針があります。
弁護士対応が必要になるケースだってある。
今回も、社長の「弁償の話は持ち帰れ」という指示がなかったら、うっかりその場で約束しかねなかった。
本当に危なかったと思います。
だからまずは
✅ 報告
✅ 相談
✅ 方針確認
この基本を絶対に忘れないこと。
② 相手の背景を想像する
お母さんは最初から不機嫌でした。
でも、育児や病院通い、待ち時間のストレス。
子供が泣いて大変だったのかもしれない。
こちらからすれば「対応したのに…」と思っても、相手にとっては「冷たかった」と感じる瞬間もある。
クローズドクエスチョンで必要な情報を引き出したつもりでも、「質問攻め」に感じたのかもしれません。
どれだけ自分が「普通にやった」つもりでも、相手の感じ方は別。
そこを忘れないようにしたいと思いました。
③ 会社のクレーム対応ルールを把握する
薬局によって対応方針はバラバラです。
「すぐ弁償する」という所もあれば、「絶対に現場で決めるな」という所もある。
フリーランス薬剤師は外から来て働く以上、その薬局のルールを把握するのが本当に大事。
これはもう必須のリスク管理です。
④ 患者さんと信頼を築く難しさ
普段「話しやすいですね」と言ってもらうことが多い自分でも、相手によっては「感じ悪い」と言われることがある。
これは本当に刺さりました。
自分の対応を振り返り、今後も「相手に合わせる」ことを意識し続けないといけないと思いました。
まとめ
フリーランス薬剤師は自由です。
でも自由だからこそ、「自分で抱え込む」のは危険です。
特にクレーム対応は、組織全体の問題になることもある。
だから必ず
✅ 報告
✅ 相談
✅ 方針確認
を徹底する。
そして、患者さんの背景を考える余裕を持つこと。
冷静に振り返って、次に活かすこと。
この経験は、自分にとっては痛いけれど、本当に大きな学びになりました。
これからフリーランスを目指す薬剤師の方も、「自由には責任が伴う」ということをぜひ考えてほしいです。
読んでくれた方、ありがとうございます。
同じように働き方を考えている薬剤師の方が、少しでも参考にしてもらえたら嬉しいです。
何かあればぜひ気軽にコメントやお問い合わせください。
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