フリーランス薬剤師はインボイス登録すべき?
僕が「得をする選択」として登録した理由
「インボイスって、結局登録した方がいいんですか?」
独立して間もない僕が、薬局の経営者や同業の人たちから一番よく聞かれた質問です。
正直に言うと、最初は僕もよくわかっていませんでした。
制度はややこしそうに見えるし、
「年商が1,000万円を超えなければ登録は必要ない」って聞くと、
「じゃあ、今の自分には関係ないかな」
と感じたのが正直なところです。
でも、実際に契約交渉を重ねていくなかで、僕は気づきました。
これは、“損を避けるため”というより、“得するため”に知っておくべき制度かもしれない。
インボイス制度って何?薬剤師とどう関係するの?
インボイス制度とは、簡単に言えば、
消費税をきちんと請求・納税していることを証明できる人だけが使える請求書制度
登録すると、請求書に「登録番号」を記載できます。
取引先(薬局など)は、その番号があることで支払った消費税を国に申告し、一部を取り戻せます(=仕入税額控除)。
でも、インボイス登録していないとそれができません。
つまり、薬局側が損をしてしまうことになります。
登録・非登録で、実際いくら違うの?
▼ 前提条件
- 単価:税込3,850円
- 稼働時間:1日8時間 × 10日間(計80時間)
- 総報酬:3,850円 × 80時間 = 308,000円
✅ インボイス登録していない場合(免税事業者)
- 請求額:308,000円(税込)
- 消費税:請求できるが、納税義務はない(=免税)
- 納税額:0円
- 実質手取り:308,000円(まるごと受け取り)
→ 相手(薬局)は消費税分(約28,000円)を控除できない=損
✅ インボイス登録している場合(課税事業者・簡易課税)
- 請求額:308,000円(税込)
- 消費税分:28,000円を受け取る
- 簡易課税(第5種)で納税額:28,000円 × 50% = 14,000円
- 実質手取り:294,000円
→ 相手(薬局)は消費税を全額控除できる=得をする
💡 ポイント
- 非登録者は「まるごと受け取れる」が、相手は損をする
- 登録者は一部納税するが、相手に実利を与えられ、信頼も得られる
- 簡易課税なら、納税額は実質「消費税の半分」
自分も得する。相手も助かる。それが登録の意味
インボイス登録をして感じたのは、
「自分のためにもなるし、相手のためにもなる制度だった」ということです。
✅ 自分のメリット
- 税込みで堂々と請求できる
- 単価交渉の材料になる
- 簡易課税で利益を残しやすい
- 税への理解が深まり、経営目線が持てる
✅ 相手(薬局)のメリット
- 消費税を経費として処理できる(仕入税額控除)
- 経理上スムーズ
- 登録者=しっかりしているという安心感
「いつか登録しなきゃ」なら、早めの方がラク
年商が1,000万円を超えると、2年後には課税事業者が強制適用になります。
つまり、インボイス登録も義務になる。
あとで慌てて手続きするより、
「今のうちに選べる立場で考えておく」方が、精神的にもラクです。
登録の手続きは?実はめちゃ簡単
✅ 必要なものは2つだけ
- 開業届(すでに提出済でOK)
- マイナンバーカード+スマホ
国税庁のWebサイトからオンライン申請できます。
僕は10分ほどで完了しました。
登録して感じたこと
- 税込みでの請求に対する堂々とした安心感
- 税金への理解が深まることで経営感覚が育つ
- 薬局との信頼関係が強くなる
- 売上が増えても焦らずに対応できる
✔ 要点まとめ
- インボイス登録すると、消費税(例:3,850円中の350円)は納税義務あり
- 非登録なら、税込報酬をそのまま全額受け取れる
- 登録すれば、相手の経費処理に貢献でき、信頼や継続につながる
- 簡易課税なら、納税は半分(175円)に抑えられる
- 年商1,000万円を超えると、2年後に登録義務化
- 手続きはスマホで完結、思ったよりずっと簡単
インボイス登録は、“義務”になる前に「自分の判断で選べる」タイミングが一番ラクです。
僕はそう思って、早めに登録しました。
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