「同じ薬歴なのに、なんでこんなに書き方が違うんだ…?」
フリーランス薬剤師としていろんな薬局を回り始めて、
僕が一番戸惑ったのは薬歴の記載方法でした。
処方内容や服薬指導は薬剤師としての基本。
でも薬歴は店舗ごとに文化もルールもまるで別物なんです。
僕が実際に体験した“薬歴文化のギャップ”
- テンプレ文化の店舗
SOAPテンプレが100種類以上。クリックだけで完成するが、自分の言葉が少なくなってしまう。
→ 対策:テンプレに一言だけ“自分の声”を追加。 - 自由記載主義の店舗
全部フリー入力で自由度は高いが、時間がかかりすぎる。
→ 対策:よく使う文章はテキスト拡張に登録して時短。 - 在宅中心の店舗
写真添付+訪問記録が必須。アプリ連携が弱いと入力が地獄。
→ 対策:訪問時はスマホで「写真+要点3行」だけ先に残す。
そもそもなぜこんなに違うのか?
理由は大きく3つあります。
- 電子薬歴ソフトの種類が違う
- 会社・店舗ごとのルールや加算意識が違う
- 患者層や業務内容(在宅の有無)が違う
つまり、同じSOAPでも、ソフト×文化が変われば記載スタイルも大きく変わります。
データで見る薬歴ソフト・レセコンのシェア
全国的に見ると、どのソフトが一番多いのか。
推定シェアを表にするとこうなります。
順位 | 製品・会社名 | 推定シェア | 特徴 |
---|---|---|---|
1位 | EMシステムズ(MAPS+GooCo等) | 約40% | レセコン最大手。薬歴も一体運用が多く、多店舗展開に強い |
2位 | メディコム(PHCホールディングス) | 約20% | 医科併設・在宅特化に強み。服薬指導支援機能が充実 |
3位 | Musubi(カケハシ) | 約10%以上 | SaaS型薬歴。大手チェーン導入多数(6,000店超) |
4位 | その他(ユニケ・メディエ等) | 約30%弱 | 地域密着型や独自システムを含む |
※数字は公開情報・業界推計から概算
これを見ると、EMシステムズ系が圧倒的トップ。
つまり、フリーランスで店舗をまたぐ場合、EM系に触れる確率が最も高いわけです。
主な薬歴ソフトの書き味と特徴
Musubi(カケハシ)
- 特徴:タブレット前提UI、候補文やスタンプが豊富
- 強み:入力補助が充実していて、時短向き
- 弱み:テンプレ頼みだと画一的な文章になりがち
MAPS+GooCo(EMシステムズ)
- 特徴:レセコンと薬歴が一体感。入力〜会計〜分析までスムーズ
- 強み:データ分析や多店舗運用に強い
- 弱み:画面構成や操作感に慣れるまで時間がかかる
メディコム系(PHC)
- 特徴:在宅や服薬指導支援に力を入れている
- 強み:医科連携や在宅業務が多い店舗にフィット
- 弱み:導入店舗が限られるため経験が積みにくい
どの店舗でも迷子にならない薬歴記載Tips
- 初日30分で“その店の正解”を聞く
- 監査で見られるポイント
- 加算で重視している文言
- 禁句や推奨される書き方
- 自分用の最小テンプレ3種を用意
- 初回患者
- 再来患者
- 処方変更あり
- 評価の一文を必ず入れる
- 理解度、服薬状況、生活背景など
- 在宅は“写真+要点3行”
- 写真、リスク、次回方針
- 音声入力を活用する
- 長文や在宅時の記録に有効
まとめ
薬歴の書き方が違うのは、あなたの能力の問題ではなく、ソフトと文化の違いです。
フリーランス薬剤師にとって薬歴のスピードと質は評価に直結します。
新しい現場でも安定して“書ける”ように、
- 店のルールを素早く把握する
- 自分の記載型を持つ
- ソフトの癖に慣れる
この3つを押さえておきましょう。
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