薬剤師として3年目の朝。
出勤の支度をしながら、ふと、心に浮かんだ言葉がありました。
「このままずっと、誰かに雇われて働くのかな……?」
別に、会社が嫌だったわけじゃありません。
大手薬局で安定した収入があって、仲間にも恵まれていた。
でも、どこかでくすぶっていたんです。
「もっと自分で選び、自分で動いてみたい」
「失敗してもいいから、自分の責任で生きてみたい」
今回は、そんな思いを抱いた僕が、
実際にフリーランス薬剤師になるまでの話を、正直に綴ってみようと思います。
1|もっと、自分で決めて働いてみたかった
毎日、決まった時間に出勤し、
決められたルールに従い、上司の指示どおりに動く。
それは決して悪いことじゃないけど、
気づけば「このまま、誰かのスケジュールに沿って一生働くのかな」と思い始めていました。
- 勤務先を、自分で選んでみたい
- 報酬を、自分で交渉してみたい
- 自分の時間を、自分の判断で使ってみたい
そうした思いが、少しずつ強くなっていきました。
2|フリーランス薬剤師との出会い
そんなとき、転機が訪れます。
ある薬局で応援勤務していたとき、
「ぼく、フリーランスでやってるんですよ」と話す薬剤師さんに出会いました。
彼は、働く場所も日数もすべて自分で決めていて、
契約も薬局ごとに直接交渉しているとのこと。
「そんな自由な働き方、あるんだ…!」
同じ薬剤師でも、働き方がこんなに違うなんて。
まるで別世界のように感じました。
そのときの驚きと羨ましさは、今でもはっきり覚えています。
3|最初の4週間、仕事ゼロ
「やってみたい」
そう思ったら、あとはもう、行動あるのみでした。
開業届を出し、インボイス登録、青色申告の申請。
賠償責任保険にも加入し、最低限の準備は整えました。
でも、現実は甘くありませんでした。
仕事、ゼロ。
メールを送り、SNSを更新し、求人サイトにも登録したのに、反応がない。
預金残高はじわじわ減っていく。
このままじゃ生活できない。
夜中にスマホを見ながら、「戻ったほうがいいのかな」と悩む日々が続きました。
4|ようやく、初めての契約が決まった日
そんな不安がピークに達しかけたとき、
1件目の業務委託契約が決まりました。
契約書にサインした瞬間、胸がじんと熱くなったのを覚えています。
「これが、自分の責任で働くってことか」
現場対応には慣れていましたが、薬歴ソフトやレジの仕様が違い、
戸惑うことも多かったです。
それでも、「自分で選んだ場所だから」と思えたことで、
どんなことも前向きに取り組むことができました。
5|今は「ラウンダー薬剤師」として週6勤務
現在は、複数の薬局さんと業務委託契約を結び、週6で働いています。
- 働く場所も
- 曜日も
- 働き方そのものも
すべて自分で決めて、組み立てています。
つまり、「自分の労働」を自分で“経営”しているような感覚。
責任は大きいですが、その分、やりがいも自由も段違いです。
社長さんと直接話したり、現場の判断を任されたり。
見える世界の角度が、少しずつ変わってきました。
6|フリーランスになって気づいたこと
この働き方を始めてから、強く実感したことがあります。
- 自分の力で収入を得るということが、思っていた以上に自信につながること
- お金や税金を自分で管理すると、仕事の意味がより鮮明になること
- 日々の選択が、“自分らしい働き方”を形づくっていくこと
もちろん、すべてが順調というわけではありません。
でも、会社員のときには得られなかった“納得感”は、たしかに今ここにあります。
7|これを読んでくれているあなたへ
もし今、あなたが
- 今の働き方にモヤモヤしている
- フリーランスに興味はあるけど、一歩が踏み出せない
- 誰かに評価される働き方から、自分の軸で働きたいと思っている
そんな思いを抱いているなら。
僕の経験が、ほんの少しでもヒントになれば嬉しいです。
最後に
フリーランス薬剤師になった理由は、シンプルです。
「もっと自由に働きたかったから」
「自分の力で、生きてみたかったから」
特別なスキルや才能があったわけではありません。
でも、あのときの「やってみたい」という気持ちに正直になって、本当によかったと思っています。
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