フリーランス薬剤師の将来性はある?需要の背景と続けるための考え方

働き方

「フリーランス薬剤師って、この先も仕事あるの?」
独立を考える人なら、一度は抱く不安だと思います。

僕自身、20代で独立した当初は「数年後には需要がなくなるんじゃないか」「経験が浅くてやっていけるのか」と何度も自問しました。

でも関西各地の薬局を回り、経営者やスタッフと直接関わってきた結果、今はむしろフリーランス薬剤師の需要はこれから伸びると確信しています。


需要が続く理由① 地方の深刻な人手不足

特に地方の薬局では、慢性的に人が足りません。
正社員を募集しても応募が来ない。派遣に依頼しても、エリアや条件によってはすぐに埋まらない。

でも、処方箋は止まってくれません。
外来患者さんは毎日来るし、在宅で薬を待っている高齢者もいる。

  • 「とにかく今日、店舗を回してくれる人がほしい」
  • 「この1か月だけでも入ってほしい」

現場では、こんな切実な声が常に飛び交っています。

僕自身、地方の薬局にスポットで入ったときに強く感じました。
薬歴や一包化の仕事が山積みなのに、人が足りず、経営者もスタッフも疲弊している。
「ここで誰か一人でも即戦力で入ってくれれば、一気に回るのに…」という現場のリアルを目の当たりにしました。

高齢化と在宅医療の拡大は止まりません。
むしろ、これから地方ほど患者ニーズは増えていきます。

でも、若手薬剤師の多くは都市部に集中していて、地方に行きたがらない。
そのギャップを埋める存在として、フリーランス薬剤師の柔軟性は非常に大きな価値を持つんです。

つまり、「地方の薬局の慢性的な人手不足 × 高齢化による需要増加」
この2つの要因が重なっている限り、フリーランス薬剤師の需要はなくならないと確信しています。ます。


需要が続く理由② 教育や管理コストを減らせる

フリーランス薬剤師は、即戦力であることが前提です。

  • 教育コストがかからない
  • 人事評価やシフト管理が不要
  • 必要な時期だけ契約できる

薬局にとっては「期間限定で専門性を投入できる存在」。
新人を一から育てる余裕がない現場にとって、これ以上ない合理的な仕組みです。

実際に僕がスポットで入ったときも、
「説明しなくても動けるのが本当に助かる」
「最初から患者対応を任せられるのがありがたい」
と、言っていただきました。

ただし、これは同時にシビアな現実でもあります。
即戦力になれなければ、必要とされない。
「この人は教育が必要だ」と思われた時点で、契約は続きません。

だからこそ、フリーランスには以下が求められます。

  • 初めての店舗でも薬歴ソフトや分包機にすぐ慣れる柔軟性
  • 薬局ごとの“空気”を読んで動けるコミュニケーション力
  • 投薬・監査を滞りなく回すスピード感
  • 加算や在宅など経営に直結する部分への理解

フリーランス薬剤師は“便利な即戦力”として重宝される反面、甘えは一切通用しない働き方でもあるんです。


需要が続く理由③ 雇用リスクを減らせる

会社員を雇うと、薬局には大きな負担がのしかかります。

  • 社会保険料や賞与のコスト
  • 有給や退職金の管理
  • 人間関係のトラブル処理

さらに見落とされがちなのが「ぶら下がり社員」のリスクです。
正社員を採用したのに、思ったより成果を出してくれない。
やる気がなく、周りのモチベーションを下げる存在になってしまう。

本来なら辞めてもらいたいところですが、日本の雇用制度では正社員を簡単に解雇できません。
結局、「合わない人材」を長期的に抱え込むことになり、薬局にとって大きな損失になってしまいます。

その点、フリーランス薬剤師は“契約ベース”
必要な時にだけ依頼でき、もし現場にフィットしなければ契約を更新しなければいい。
「即戦力として成果を出せる人材だけを残せる」という意味で、雇用よりも合理的です。

つまり薬局にとってフリーランスは、「柔軟に試せる人材」でもあります。
リスクを抱えて正社員を雇うより、状況に合わせてフリーランスを投入するほうがずっと現実的なのです。

「雇わない働き方」は、経営がシビアになるこれからの時代にフィットしています。


今後の背景:なぜ需要は続くのか?

高齢化社会が進む日本では、薬局の役割は確実に増えています。


患者さんの高齢化に伴い、在宅医療や一包化の需要は右肩上がりです。


通院が難しい方への訪問薬剤管理、複雑な処方を間違いなく管理する一包化調剤
——これらは「人の手」が不可欠な仕事。自動化が進んでも最後の確認や対応は薬剤師にしかできません。

一方で、都市部の薬局は派遣やパートでなんとか人員を補充できることもあります。
でも、地方や郊外では全く人が集まらないのが現実です。
求人を出しても応募ゼロ、派遣会社に依頼しても「紹介できません」と断られる。
僕自身も地方にスポットで入ったとき、「正社員が3年も採用できていない」という薬局に出会ったことがあります。

さらに、薬局の仕事量は日ごと・月ごとに大きな波があります。
処方箋枚数が少ない日は正社員で回るけれど、繁忙期や季節変動では一気に負担が増える。
そうした「波を調整するためのスポット需要」も確実に存在します。

そして背景には「経営効率化」の流れがあります。
正社員を抱えれば社会保険料や退職金、有給管理などの固定コストがついて回る。
でもフリーランスなら、必要なときだけ依頼し、成果に対して報酬を支払う
薬局経営者にとってこれは非常に合理的で、リスクを抑えつつ柔軟に人員を確保できる方法です。

これらは単なる一時的な流行ではなく、構造的にフリーランス薬剤師の需要が続く理由だと僕は感じています。


高齢化は止まらないし、地方の人材不足はますます深刻化する。
「雇用から業務委託へ」という流れも医療業界に確実に浸透しつつあります。


将来性を支える3つの力

僕がこれからもフリーランスとして生き残るために大切だと思うのは、この3つです。

  1. 自己管理力 … 健康・資金・スケジュールをすべて自分で回す力
  2. 現場力 … 即戦力として動ける柔軟性とスピード
  3. 信頼構築力 … 「あの人なら安心」と思ってもらえる誠実さ

この3つを積み上げれば、案件がゼロになることはほとんどありません。


まとめ|フリーランス薬剤師の未来は自分で切り開ける

フリーランス薬剤師の将来性は「市場に左右されるもの」ではありません。
むしろ、自分のスキルと人脈次第で広がっていく働き方です。

僕自身、会社員時代は昇格すらできず、年収も頭打ちでした。
それが今では、年収700万円以上が現実的な選択肢になっています。

雇用に守られない怖さもあるけれど、その分「雇用に縛られない自由」がある。
これからの薬剤師キャリアにとって、フリーランスは確実に“当たり前の選択肢”になっていくと思います。

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