薬剤師としてフリーランスで働くと、収入の「種類」が会社員時代とは変わります。 それが「給与所得」ではなく「事業所得」。
最初はピンとこないかもしれませんが、この違いがわかると、税金の仕組みやお金の流れがぐっと理解しやすくなります。 そして、働き方そのものに対する考え方まで変わるかもしれません。
今回は、薬剤師が業務委託契約で受け取るお金が「事業所得」になるとはどういうことか、 そしてそれが「給与所得」とどう違うのかを、実体験を交えながら、わかりやすくお伝えします。
自己紹介(読み飛ばしOKです)
薬剤師3年目で、現在はフリーランス薬剤師として関西を拠点に活動しています。 派遣勤務やスポット業務を経て、今は主に業務委託契約で複数の薬局と契約しています。 お金の管理や確定申告もすべて自分で行うようになり、「事業所得」を体感しています。
違い① 経費が使える|フリーランスの強み
会社員のときは、月給がそのまま“収入”でした。税金や社会保険料は給料から天引き。 だから、自分では何も考えずに済んでいました。
でもフリーランスは違います。 報酬として振り込まれるのは「売上」であって、「そのまま収入ではない」んです。 ここから、業務に必要な支出=経費を差し引いて、残った分に対して税金がかかる。
たとえば、
- 移動にかかった交通費
- 医薬品や文具などの購入費
- セミナー参加費や書籍代
- 打ち合わせ時のカフェ代 などなど。
「仕事に使った」と説明できるものは経費にできます。
たしかに手間はあります。でも、自分がどう働き、何に使い、どこに残すのか。 全部が“見える化”された感覚がありました。
違い② 税金を“後から”自分で払う|お金の流れが変わる
給与所得では、税金は会社が源泉徴収してくれて、年末調整で調整してくれます。 いわば「税金の自動運転」。
でも、事業所得では、税金はすべて自己管理です。
- 売上はいくらだったか?
- 経費は何にいくら使ったか?
- 今年の利益はどれくらいになりそうか?
これらを踏まえて、自分で確定申告をして税金を納めます。
最初は怖かったです。間違えたらどうしよう、と。 でも、実際にやってみると、
「お金の流れが全部自分のコントロール下にある」
という感覚が得られました。 これは、会社員時代にはなかった主体性。 お金に責任を持つことで、逆に「自由になれた」感覚でした。
違い③「働き方」そのものが変わる
事業所得になるということは、「雇われている」のではなく、「契約している」立場になるということ。 つまり、あなたは薬剤師という“仕事を請け負う事業主”になります。
その結果、こんな変化が出てきます。
- 自分で勤務日を交渉できる
- 自分で単価を提示できる
- 仕事を受ける・断る選択肢がある
一方で、
- 労働基準法に守られない(残業代・有給がない)
- 社会保険や年金は自分で手配
- 契約が切れたら仕事がなくなる可能性も
すべてが「自由であり、自己責任」。 会社という枠の中にいたときとは違って、働くこと=生き方そのものに直結している実感があります。
これは“給与所得”ではなかなか味わえない感覚でした。
補足:業務委託でも給与になるケースは?
補足ですが、「業務委託契約」と書いてあっても、実態が“指揮命令のもとでの労働”である場合、税務上は給与所得になる可能性もあります。
ただ、薬剤師業界でよくある単発やスポットの業務委託(報酬型契約)は、
- 働く日時や内容を自分で選んでいる
- 勤怠を管理されていない
- 請求書を自分で発行している といった要素が多いため、基本的には事業所得として扱われるのが一般的です。
まとめ|「事業所得」はお金以上に“自由の証”
フリーランス薬剤師として得る報酬は「事業所得」です。 そしてそれは単に税区分の話だけでなく、
- 自分で稼ぎ
- 自分で使い道を決め
- 自分で責任を取る
そんな“自分の人生を選び取る働き方”を意味しているように感じます。
最初はわからないことだらけ。でも、ひとつひとつ仕組みを知っていくと、 「お金に振り回される」から「お金をコントロールする」側に回れるようになります。
薬剤師として、もっと自由に働きたい人へ。 この「事業所得の世界」、ぜひ一度体験してみてください。
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